ダブルインカム トリプルキッズ blog

夫婦共働きの子育てを実践しながら、パパ育児の苦労と楽しさをご紹介します。

418.つくば市のスマートシティ構想について考える その1・つくば市の都市政策の課題

スマートシティスクールを受講してみて痛烈に感じたことは、『スマートシティ』は雲をつかむような、まだ答えのない街づくり構想で、非常にコンセプトメイクが難しいということです。

 

まちづくりの専門家(大学の先生等)だけではダメ。資金源がない。経済感覚もない。赤字垂れ流しでは継続できない。

 

だからといって、資金源に従来型のデベロッパー(オフィスや商業施設、マンション開発業者)をつれてくると、短期売り抜け思考で長期的なアイデアが出てこない。街に対する愛着よりも金に対する執着の方が強くなる(上場企業だから当たり前と言えば当たり前・・・)。

 

では、行政主導で何とかなるかと言えば、こちらも人材不足と資金不足でどうにもならない。

 

 

 

そんな中、スクールでの地方都市研修で感じたことがもう一つ。「東京が無駄に人財を抱え込んでいる」という事実です。

 

 

 

東京は非常に優秀な人材をひたすら呑み込み続けています。

 

それゆえにスポイルされてしまう人財も多く発生する。

 

ただ、東京では活躍の場を失った人財でも、地方都市に移住すればエース級です。

 

それくらい東京は人財を溜め込み、一部は無駄遣いしてしまっているように思います。

 

 

 

そんな折、日本のスマートシティ構想に手をあげている自治体を調べてみると、自分の故郷、つくば市も手をあげている。

 

スーパーシティにも手をあげている。

 

おいおい・・・。大丈夫か?

 

筑波大学におんぶにだっこでやっていくにも限界がないか?

 

と、勝手に心配になってしまったわけです。

 

 

 

 

そこで、めちゃくちゃ勝手なおせっかいですが、地元つくば市のスマートシティ構想を自分なりにアイデア提案しようかなぁ。と。

 

先日のスマートシティスクールの自分なりの卒業論文的な?

 

今回は、まず課題だしから。

 

 

 

つくば市の魅力はどこにあったか

 

既に過去形で描きましたが、つくば市の魅力をデベロッパー目線で描いてみます。

 

① 国主導で作られた高所得者の街

 デベロッパー目線で言えば、街の10%以上の世帯が1000万円を超える世帯年収を持つ、そんなつくば市中心部は異常です。

 

 国家の研究機関を集約した街であるため、突如として高所得、高学歴の島が出来上がっている。それがつくば市です。

 

 

② パブリックスペースの充実

 そもそも50万人都市をめざして設計された街なので、幹線道路が広く、公園が数多く整備されています。

 

 

セミパブリックスペースの充実(⇒これが近年危機的状況)

 官営住宅、企業社宅(研究者用住宅)が多かったつくば市では、セミパブリックスペースが街をつないでいました。

 

 団地の中の通路、団地の前の広場、賃貸戸建て住宅の中の路地、それらは全て宅地でありながら不特定多数の人が通り抜け自由。

 

 そのため、子供たちはサッカーも鬼ごっこも、陣取り、刑泥、街の中で何でもできました。そのうえで、たくさんの公園も配置されていました。

 

 街の中で、街路空間沿いにあるセミパブリックスペース(ベンチ、パーゴラのある休憩スペース、喫茶店・・・)は非常に重要です。 

 

 詳しくはこちらをご覧ください。

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

 

④ 歩者分離された街の構造

 街は地上部が車中心の街路、少し高い場所に歩行者、自転車用のルートが確保されており、信号機を横断せずにかなり遠くまで街路を渡っていける構造になっています。

 

 

⑤ 都市計画による用途分離が進んでいる(逆に言えば1970年代の都市計画のまま)

 健全な住宅街を形成するために進められた1970年代の都市計画のまま、住宅地には住宅のみ、商業エリアは閉じ込められている一部の街区にショッピングセンターを形成する計画になっています。

 

 車中心社会の都市計画構想であり、人中心の都市計画が求められている現代からすると、当時最先端だったが今となっては半世紀遅れている都市計画です。

 

 

 

つくば市の解決すべき街の課題はなにか

 

まず、つくば市のウィークポイントは⑤の用途分離が進みすぎているところ。

 

これも、街にパワーがあった30年前までなら『用途分離』という印象でしたが、街のパワーを失った今では住宅のみの『ベットタウン』という印象が強くなり、急速に街の魅力を失いつつあります。

 

その⑤のウィークポイントを補うのが③の街区内セミパブリックスペースの充実だったわけですが、財務省管轄の公営住宅敷地が民間デベロッパーに払い下げられる毎に、セミパブリックスペースは消え失せ、マンション敷地として排他的空間に、もしくは戸建て住宅地として宅地内路地が数本形成されるだけになります。

 

昔のような、子供たちが自由に使えたスペースは一気に消失しています。

 

セミパブリックスペースを増やし、街の中に多数点在させて『歩いて楽しい街』を作っていこうとしている21世紀型まちづくりに対して、つくば市は完全に逆行する開発を続けてしまっています。

 

つくば市がスマートシティづくりでまず最初に取り組むべきことは、なによりも人々が街を歩き、集い、コミュニティを広げることができる『場』を作り直すことです。

 

街の中から次々に失われて行っているセミパブリックスペースを回復させていきましょう。

 

また、完全に用途分離してしまっている車社会の街を少しずつ見直していきましょう。

 

街区内にマンションと中型スーパー1軒というスタイルから、小型の店舗が数十メートルおきに出てくるような、街を目指しましょう。

 

洞峰公園にモルゲンやシーゲルがあるように、街のいたるところに小さなきらりと光るお店が点在していれば、街を歩いていて楽しいと感じませんか?

 

 

 

まずつくば市が最初に取るべきスマートシティへの第一歩

 

財務省の用地払い下げ時に下記の条件を付ける。

 

・一辺が100m以上となる敷地においては、街区内を通り抜けられる幅6m以上の敷地内通路を設けること(宅地分割でも地区施設でも可)

 

・分譲100戸に付き50㎡の店舗空間を1つ、街路空間から直接出入りできる空間(1階)に整備すること

 

 

 

まずはそこからだなぁ。

 

最初にこの本を読もう。

 

 

 

 

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

以上