ダブルインカム トリプルキッズ blog

夫婦共働きの子育てを実践しながら、パパ育児の苦労と楽しさをご紹介します。

420.つくば市のスマートシティ構想について考える  その3・スマートシティ施策紹介

おさらいになりますが、まず最初につくば市の都市しての現状と課題を整理しました。

 

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

そして前回はスマートシティとは何か?を考察しました。

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

 

今回のテーマは、つくば市のスマートシティをどのように作っていくのか。という基礎の部分を紹介してみたいと思います。

 

スマートシティづくりは、センサーやAI、ロボット(自律行動機械)などの力をネットワーク化させて活用し、防犯、交通、エネルギー(主に電気)、金融、医療、介護、都市の魅力向上発進などを推進していこうというものです。

 

すごく簡単に、どのようなデータや機材と、何を連携すればどのようなことができるかの事例を挙げたいと思います。

 

・街の防犯カメラを一つの都市OS(データを連携し解析する都市のプラットフォーム)につなげて、顔認証解析(認知AIを活用)することで、誰がどこにいたか、事件が起きた現場に近づいていた人は誰か、などを解析できます(中国などが導入している防犯システム)。警察組織のコスト削減と、圧倒的な防犯能力を誇ります。

 

・電話回線傍受 × 音声AI解析(認知AI + ビジネスAI)を行えば、すべてのオレオレ詐欺系統を撲滅できます。(どこからかかってきているどの電話番号が詐欺師か一瞬で特定可能)

 

【少し解説】

街の防犯カメラで自分がどこにいたのか、自分が誰と何を話したのか、警察組織に常にトレースされているというのは嫌ですよね。すぐに「1984」のテレスクリーンの世界観を思い浮かべてしまいます。

 

あの頃はSF小説の世界ですが、現在では「やろうと思えば技術的に可能」というところまで来てしまっています。

 

毎年高齢者が100億円以上も被害に遭われるこの卑劣な詐欺行為に対抗するためにどこまで社会が監視機会を入れることに同意するか・・・。

 

 

 

・ネットワーク化された自動運転自動車 × 街のカメラ × 街のイベント情報 などをつなげれば、どのタイミングで街のどこに車を配車しておくと人流をスムーズに流せるか先回りして準備できます(未来のタクシーアプリ)

 

【少し解説】

あと10年程度で、都市のハードデータを随時更新できる一部の大都市では、自家用車でのレベル4以上(人間が完全に運転しなくても良い)が達成されると思います。

 

既にテスラの無人運転による車の呼び寄せ機能や、メルセデスの一般車でのレベル3(基本は自律運転で特定の環境下のみ人間ドライバーが運転)、境町などではバス(走行ルートが決まっている車)のレベル4運転が達成されています。

境町で自動運転バスを定常運行しています【自治体初!】 | 境町公式ホームページ

 

車両は平均的には95%が駐車させられており、実際に道路を動いているのは5%程度にすぎません。

 

最も活用される通勤時間帯やゴールデンウィークなどでも最大で20%程度の車しかうごいておらず、残りの80%は車庫で眠っている。

 

そうなると、そもそもネットワーク化された車両が都市の中で「呼べば来る」状態になってさえいれば、車庫で眠っているだけの個人車はいらなくなります。

 

ある数社の大手企業(トヨタとか、ホンダとか、日産とか、ソニーとか、百度とか、テスラとか、ウーバーとか、リフトとか・・・)が、自社の交通OS(これはスーパーアプリ)に乗せて自動運転車を走らせているでしょう。

 

将来的には都市では保有される個人車両が極めて減る傾向で、時間貸し駐車場は無用の長物になるでしょう。

(自律走行車両は『自動走行で人を運んでいる』、『次の人が集まりそうな場所に向かっている』、『充電している』、『電力を運んでいる【昼間太陽光パネルの近くに居て、夜間、住宅地の電力ステーションに移動し、電池として活用】』、そんなミッションを常に持っている状況になります)

 

 

・金融もブロックチェーンの仕組みで都市OSの中に組み込めます。金融アプリでいま最も進んでいるのはPayPayでしょう。決済、送金、投資などまでできます。これはスーパーアプリ(次回解説します)側の目標を持っていますが、ローカルにも高山市のさるぼぼコインのように、そのエリアでしか使えない地域通貨を作れます。これを活用すると、誰がどの店でどんな天気の日に何を買ったか、購買データ分析が可能になり、AIが「本日は土曜日。天候31度、晴れ。予想される観光客数は○○千人。商品の○○を店頭に○○個程度並べていきましょう」みたいな棚の陳列についてもアドバイスしてくれるようになります。もっと重要なのは飲食店の仕入についてで、フードロスを解消しつつ、売上を最大化出来る仕入計画も、人間の狭くて短い経験に基づくものではなく、都市全体のデータから最適化してくれます。ちなみにAirレジなど、商店街のPOSシステムを統一してみんなで商店街の販売データを共有すると、レジ側からでも同じデータが揃います。

 

 

電子カルテと電子お薬手帳マイナンバーで名寄せし、個人データとして管理する。個人の病歴や次の通院時期を都市OS側で把握する。通院日時には自律走行車が家の前にお出迎えしている。薬をきちんと飲んだかどうか、スマートグラス情報(あと10年程度ではグラスないしコンタクトレンズ上で情報を重ねるArデバイスが主流になると思います)で把握し、まだ飲んでいない場合はグラス上で「朝の薬を飲んでください」と表示する。みたいなこともできます。綱に自分の見ている情報が誰かが(少なくともAIが)見ている情報になる。というプライバシーの問題をどう考えるかが大きな課題です。

 

 

 

さてさて、ここで紹介したいくつかはスマートシティとして考えられる施策の中のほんの僅かなものですが、どれも技術的には現実化できる。もしくはもうすぐ現実化できるものです。

 

「便利だなぁ」「無駄が減りそうだなぁ」という印象と、「自分の行動がすべて把握されてしまう」という監視される動物としての不快感がセットで皆さんの心の中に浮かんだことと思います。

 

この「データ」を「名寄せ(個人に紐づけて)」して「都市OSで共有」して「市民サービスとしてフィードバック」する。という流れがスマートシティと現在考えているものの正体なわけですが、トロントでグーグルのサイドウォークラボが主導するスマートシティ構想がこけたように、人々にはデータを取得される、ひいては個人監視される事への拒否反応が常にあります。

(人々にあまり拒否反応がない特殊環境は中国、人々に拒否する権利がないのが独裁国家

 

この点が、日本のスマートシティ構想において最大の課題になっていますので、こちらは今後お話させていただきます。

 

 

以上