岸田総理大臣を「増税メガネ」と揶揄するこえが聞こえています。
さて、近年で最も増税を志した首相は誰か。
それは紛れもなく故安倍首相でしょう。
黒田前日銀総裁と組み、日本銀行券の信用を下げ、円安によるコストプッシュ型のインフレをめざしました。
インフレは、必ず賃金に先行する形で現れます。必ず実質賃金を下げます。(物価より賃金の方が粘着性が強いため)
もしご存じない方がいらっしゃれば、ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」くらいをお読みください。しっかりと書いてあります。
デフレ(円高)の時に実質賃金の上昇を悩みにしていた企業があることからも明らかです。賃金には過去の水準からの粘着性が強くなる性質があるので、インフレ時は実質賃金は下がりやすく、デフレ時は実質賃金が上がりやすくなります。
今回、自民党(アベノミクス)がめざしたのも、黒田日銀がめざしたのも、インフレによる日本の実質賃金の低減、アジアにおける相対的な労働コストの低減を行うことで、日本に工場(第二次産業)を再誘致する政策でした。
見事に半導体工場が帰ってきて、大企業は円安で潤っています。
一方、労働者は実質賃金が継続的にマイナスとなり、つまりはインフレに悩む状況になっています。
自分の給与で買えるものの数がどんどん少なくなっていっているので、生活は辛いです。
さて、消費税を毎年2%ずつ高くすると言われればみんな怒るのに、インフレを毎年2%起こします。という目標に対して怒りの声をあげないのはなぜ?
結局、物価が毎年2%ずつ増えることには変わりないのに、なぜ皆さんは2%のインフレ目標に対して素直に受け入れているのでしょうか?
ひたすら不思議でなりません。
長期国債をほぼ0%で発行できていた国にとってインフレほどありがたいものはありません。
何もしなくても税収が伸びます(消費税も、所得税も、法人税も伸びる 貨幣の価値が下がっているのだから・・・)。
税率を増やすよりも、インフレを起こす方が国にとっては税収を増やしやすいのです。
(国民の反対を受けにくい ということ)
自国通貨の価値を下げ、コストプッシュ型のインフレを起こそうとする施策は、国民を困窮させる施策であって、国策として間違っています。
むしろ円高にして消費者を支え、国内のグローバル企業に歯を食いしばらせた方がずっといい。
設備投資による効率化を進める。
一方で、そもそも若者が減っているのでどんなに設備投資をしても、若者が余ることはほぼ無い。それほど日本の労働者、特に若者の価値は高くなっている。
たとえ円高にしても、企業は若者を競って雇用するほかない状況。(これが、団塊Jrを抱えていた2000年ごろとは違うところ)
企業は設備投資をして効率的な生産を行い、少ない若者を競って雇用し、円高でも利益を上げられる体質をつくる。
そして円高によって輸入物価は下がり、高齢者にとっては年金でより多くの消費が出来る環境となる。
これこそが国策だと思うのだが・・・。