前回は、どんなデータの組み合わせで、どんなことができるのかを少しだけご紹介しました。
doubleincome-triplekids.hatenablog.com
本日は、スーパーアプリとローカルアプリの違いをご紹介いたします。
スマートシティ構想において、非常に大事なポイントになりますので、ぜひ皆さんも考えてみてください。
まず、スーパーアプリについてです。
1つのアプリをダウンロードすれば世界各国で使えるものが超スーパーアプリだと思いますが、まあ、日本国内どこでも使えるアプリであればスーパーアプリと読んで良いでしょう。
超スーパーアプリの代表格は、今まではクレジットカード(アプリじゃないけど)でした。
世界各国どこでも決済できて、請求はいつもの口座にまとめてポン。ドルやユーロやポンドにいちいち両替する必要なし。非常にスマートです。
VISAカードなどのカード会社は、自社のカード使用データから、世界の個人消費の傾向を分析し、レポートなどにしていました。
現在の構想としての決済超スーパーアプリはビットコインでしょう。
国家信用に基づく中央銀行システムに対して、ブロックチェーン技術で新たな世界的決済送金システムを作ろうとしています。
まあ、決済できるお店が少ないことから、いまのところ投機資産の範囲を出ませんが…。
そして、世界のグーグル、アマゾン、アップルストア、マイクロソフトなどが、決済機能も備えた超スーパーアプリをめざしている。
さて、日本国内に限定して、スーパーアプリは何かと問われれば、まずはLINEでしょう。
チャットアプリとして圧倒的なシェアを握り、ネットワーク効果によって多くの日本人がLINEの編みから離脱困難となっています。
これに決済機能をつけたのがLINE Pay。ただ、こちらはpaypayに負けてしまいましたので、同じ系列で今後はLINEのネットワーク効果を使いつつ、paypayで決済機能を付け加えるアプリになってくると思います。そして、ヤフーオークションなどのネット販売機能も付け加える。ソフトバンクグループ恐るべし。
その次に挙げられるのは楽天。言わずと知れたAmazonの日本国内限定の対抗馬。こちらはEdyで電子決済を先行させていたものの、携帯電話系の決済(paypay、D払い、auペイ)に負けてしまいましたので、楽天カードでなんとか金融決済系のデータを集めている。楽天としては携帯電話をなんとしても成功させて、人の広域移動データも連携させていきたいところでしょう。
また、メルカリもかなり有力候補です。フリマアプリというキラーコンテンツで人々の有力アプリに成長。メルペイを基軸にしつつ、ドコモからの出資を受けたので、D払いとも連携。
ちょっと弱いけど、価格ドットコム(食べログ)というコンテンツを基軸に据えようとしているのがau。
これらをまとめると
LINE(キラーコンテンツ)✕ソフトバンク(移動人流データ)✕ヤフー(ネット販売)✕paypay(決済)
楽天市場(キラーコンテンツ&ネット販売)✕楽天モバイル(移動人流データ)✕楽天カード・楽天ペイ(決済)
メルカリ(キラーコンテンツ&ネット販売)✕ドコモ(移動人流データ)✕メルペイ・D払い(決済)
食べログ(キラーコンテンツ&飲食予約)✕au(移動人流データ)✕auペイ
どのチームも携帯電話会社(移動人流データ)が必ず中心にいます。
これらの企業体は、それぞれのサービスを提供する際にデータ活用について同意を得て、データを次のビジネスに活かそうとしています。
ただ、同じグループ会社であったとしても個人情報のやり取りには個人情報保護法の分厚い、高い壁がありますので、例えばLINEとPayPayの情報を連携しようとしても今のままではなかなかうまくいかないはずです。
最終的には企業統合する方向性ではないかと思います。データ連携のために。
これらに対して、ローカルアプリはそのエリア限定で使えるアプリです。
例えば、このブログで対象にしているつくば市で説明すると、つくば市限定で使用できるアプリ。
つまりこんなもの。
つくば市限定ですので、つくば市で活動する市民がダウンロードする。
地域限定アプリですので、隣の土浦市や牛久市に行ったらもう使えない。
ここがスーパーアプリと違うところです。lineやメルカリはどこへ行っても使えるアプリ。
この地域限定であるローカルアプリには、市民にダウンロードしてもらえるだけのキラーコンテンツを必要とします。
lineのチャット機能であったり、楽天の市場機能であったり、メルカリのフリマ機能であったりというキラーコンテンツを要していないと誰もアプリをダウンロードしてくれません。なにかインセンティブ(地域ポイントなど)を与えてダウンロードさせたとしても、その後は見てもらえません。
ここで「地域の情報をより細かく発信します」というアイデアが最初に出てきてしまうのですが、更新にはものすごい労力を必要とします。
各店舗が自ら更新してくれないと、すぐに古いデータになってしまいます。
食べログや自店舗のインスタグラム、フェイスブックの更新と同じ頻度でローカルアプリのデータを更新してもらえるでしょうか?
かなり苦しいと思います。
地元の人はもちろん、周辺地域の人にも、たまたま街にやってきた来街者にも見てもらえるスーパーアプリに対して、地元の人しかダウンロードしていないローカルアプリは更新する魅力が薄い。
Maas(地域交通機関の連携)などですぐにローカルアプリを作り込もうとしてしまうのですが、最初に気を付けるべきは「このアプリはダウンロードしてもらえるだろうか?どのコンテンツがキラーコンテンツになりえているか」これを考える必要があります。
ほとんどのローカルアプリは、東京のベンダー企業を儲けさせるだけで、地域の皆さんの利便性を向上させません。
今後、日本の各都市において 都市OS × Maas ✕ 地域ポイント ✕ ローカルアプリ という組み合わせで街の利便性を向上させようとする施策が登場すると思うのですが、このローカルアプリは誰がダウンロードしてくれるのか。少なくともその地域においてはインスタグラムやフェイスブックよりも先に見てもらえるアプリ(キラーコンテンツ)になりえているか。この視点を大事にしないといけません。
例えば、その地域ではpaypayを使えるお店よりも、ローカルアプリの地域ポイント(地域通貨)を使えるお店のほうが多くなっているか。などがベンチマークになります。
個人的にはローカルアプリは極めて難しく、スーパーアプリの地域限定機能をうまく使いこなしていく方が良いのではないかと思っています。
次回は、スマートシティ構想においてどの都市も迷い込む思考の迷路についてです。
以上