日銀は、これだけインフレが起きても金融緩和の手を緩めようとしません。
とうとう2023年4月の消費者物価指数(コアコア)は4.1%まで上昇。
日本 - CPIコアコア | 1971-2023 データ | 2024-2025 予測
※生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価
より生活に近い、スーパーなどのPOSデータを集めた日経ナウキャストは先週8.7%まで上昇しています。
庶民としては、かなり苦しい生活物価の上昇。だけど、日銀はよりインフレを加速させる政策を取る・・・。
日銀の表向きのコメントは、1990年代から続いた30年のデフレ経済を完全に終わらせて、インフレ下での早期設備投資、好経済循環の流れを作ることが目標です。
裏側は、国家財政のために必死で国債のマネタイズ並びに低金利誘導をしています。
中央銀行はインフレが起きない限りは永遠に続けられるモデルだった。これがアベノミクスの本質。
でも実際インフレが起きてみると、止めることが難しい。(技術的なことは書くと長くなるので省きます)
インフレには、おおきくわけて輸入価格が増加することでのコストプッシュ型と、国内の賃金が上昇することでのコストプッシュ型、需給バランスが需要過剰となることで起きるディマンド型があります。
日本は、中技能労働者を揃えることによって1980年代は世界の勝ち組となりました。
そして、横並びの完璧な中技能労働者集団で居続けることにより、30年間の停滞を招きました。
この30年間は、1990年代から供給された東欧と中国の格安中技能労働者との競争を余儀なくされ、賃金は抑圧された。
ほとんどの先進国は、中技能労働市場をあきらめて、高技能労働市場とそれ以外の格差を受け入れましたが、日本は中技能労働者の確保にこだわり、1人当たりGDP3~4万ドルで停滞しました。
製造業が主な輸出産業である場合、1人当たりGDPは4万ドルが限界です。
その上は、金融や、限界費用0モデルを導入した高技能労働の『グローバルな勝ち組』を国内に抱えないと実現できません。
それは国内での大規模な格差を受け入れることでもあります。
中技能労働者集団で居続けた日本は賃金が抑圧され、円高により輸入物価が抑えられ、高齢化により需要も抑えられたので、インフレのすべての要素がなくなり、デフレ、もしくは±0の物価状態が30年間続きました。
日銀が金融緩和を続ける背景には、いつでも通常経済(インフレ率1~2%程度)に戻せる自信があるからです。
2022年前半までのFRBパウエル議長と同じ考えです。
果たして本当か?
もし日銀が踏み間違えているとすれば、中技能労働集団であった中国、日本、韓国、台湾、東欧のすべてが高齢化して、生産年齢人口が急速に減り始めていることです。
最も活躍できる30代、40代が特に減少しています。
しかし、中技能労働者を減らし、製造品を輸入に切り替えていた先進国(アメリカやイギリスなど)は、輸入量を増やし続けます。
当然、労働者が減って、需要は増えるわけですから、産業設備への投資(人でやっていたことを機械化する)が増加し、数が少なくなって貴重となった中技能労働者の給与が上昇します。
生産年齢人口が急激に減少する中でも、20代、30代のとにかく動けるパワー、40代のチームリーダーはどの製造メーカーも必要です。
日本の労働者給与は、30年間の眠りから覚めて、いよいよ上昇局面です。
韓国、台湾、シンガポール、中国、そして日本。どこで働いても中技能労働者の給与はほぼ変わらなくなりました。むしろ日本の方が低いくらいです。
日銀の『何時でもインフレを止められる』という自信は、日本の中技能労働者の給与が、他の諸国よりも高いことを前提としています。
しかし、コロナ後の状況において、この条件は消失しています。
果たして、労働者給与の上昇局面は一時的でしょうか?
一度火が付けば、人財確保のための給与上昇は止まらなくなる(少なくとも他国と横並びで上がって行く)。
給与が上がれば、コストプッシュ型でインフレが起きるし、需要も増えるのでディマンド型でもインフレが起きる。
日銀。
本当に大丈夫か?
この辺の話は、下記の本を参考に。
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