ダブルインカム トリプルキッズ blog

夫婦共働きの子育てを実践しながら、パパ育児の苦労と楽しさをご紹介します。

561.そんな単純じゃないのよ

昨日のMBAプログラム研修。

 

テスラ自動車の事業モデルの礼賛。

 

たしかにすごい。

 

講師曰く

 

これからは電気自動車になることは分かりきっているのに、なぜトヨタはエンジンに未だにこだわるのか。

 

経営センスがない。

 

とのことなのだが、経済や経営の先生が考えているほどには社会は単純じゃないのよ…。

 

 

 

 

本当に日本で電気自動車一本槍の社会を作れるか。

 

ヨーロッパは可能だろう。アメリカも西海岸以外は大丈夫。

 

卓状地と楯状地の上だから。

 

地震がない。

 

 

 

地震に電気は極めて弱い。

 

送電網が弱いし、備蓄には極めて運用コストがかかる。

 

油タンクのような簡単な構造で分散させて高密度にエネルギー備蓄が出来ない。

 

送電網がやられたとき、油のように被災地に届けることも出来ない。(電源車はあるけどエネルギー密度に課題がある)

 

 

 

被災地ではポータブルの小型太陽光パネルが活躍していると思いますが、固定式は役に立たなくなっているものが多いはず。

 

屋根の上のものは家が半壊、全壊していたら使い物にならないし、メガソーラーがあったとしても、送電網が切れていたら役に立たない。

 

メガソーラー側に大きな蓄電池があって、発電量を数日間分溜められたら別だけど…。

 

ちなみにメガソーラー自体が無事かどうかもわからない。地盤面の変化はそこらじゅうで起こる。

 

 

 

やはり、街のレジリエンスを高めるためには、電気、ガス、油(ガソリン)の3系統が必要。

 

通常時のエネルギーとして使いやすい電気。

 

通常時のエネルギーとして使いやすく、被災時にも強い都市ガス(中圧管)。

 

エネルギーの高密度の備蓄が可能な油とプロパンガス。

 

これのポートフォリオが必要。

 

投資も「卵を同じかごに入れるな」とよく言います。

 

リスクは分散させなさい。と。

 

 

 

街のエネルギーも同じです。

 

「環境」という、目線だけで「電気だ〜」とやると、日本では痛いことになる。

 

 

 

車の中は被災時に貴重な貴重な安全域になります。

 

空調が確保され、鍵が閉められ、移動でき、外から見られない空間も作れます。

 

車は災害時に本当に大切な空間になるんです。

 

車を全てEV車にすると、被災時のレジリエンス機能が大きく落ちることになります。

 

油(ガソリン)の備蓄や緊急配給の簡易さに対して、送電網が切れたときの電気の復旧の遅さは致命的なものがあります。

 

 

 

防災の専門家崩れとしては、いつもこう言います。

 

家のオール電化はやめなさい。(家の熱源は電気とガスの2系統を確保する)

 

ましてやEV車にして家の全てを電気一本槍にすると「卵を同じかごに入れる(リスクテイクし過ぎ)」ことになりますよ…。と、教えてあげたい。(せっかく自家用車を持つのであれば、油(ガソリン)から電気を作れる機能を持たせておくべき)

 

プラグインハイブリッド車は、環境とレジリエンスの両方を兼ね備えているので良いと思いますが、EV車は災害時に弱い。

 

 

 

と、いうことで先生。

 

経済学で考えるほど、そんな単純じゃないのよ…。社会は。

 

 

 

卓状地と楯状地の上にいるヨーロッパ、アメリカ、中国の東側はEV車に振り切れる。

 

だからそういった国の自動車メーカーは全振りできる。

 

 

 

トヨタは悩ましい。

 

地震大国の日本の自動車会社として、社会的責任を全うしようとするとEV車以外も造らないといけない。

 

それこそトヨタの言う「全部やる」が必要になる。

 

世界で売るためにEV車を造る。日本のレジリエンスを高めるためにハイブリッド車も造る。

 

 

 

 

いつも思うけれども、経済は社会のほんの一要素。

 

経済学の数式で単純化しているほど社会は簡単ではない。

 

その割に、経済学は自らが中心であるかのように振る舞う。(この辺、詳しく知りたい方はカール・ポランニーの「大転換」をお読みください)

 

資本主義とはそういうことなのかもしれないけれども…。