ダブルインカム トリプルキッズ blog

夫婦共働きの子育てを実践しながら、パパ育児の苦労と楽しさをご紹介します。

230.マズローの5段階欲求  ~ 子育ての観点で考える ~

マズローの5段階欲求』という言葉をご存知でしょうか。

 

中間管理職の研修などでは必ず出てくるキーワードなのですが、子供の成長過程そのものでもあります。

 

 

 

まず人間の1段階目の欲求。根底にある欲求。

 

それは、生理的欲求だといいます。

 

食べる、飲む、寝る、排泄する、そういったことが満たされることを望みます。

 

この欲求は、子供が生まれたその日から存在します。

 

 

 

次に2段階目。安全欲求。

 

大人で言えば、雨風がしのげる家があって、自然災害に耐えうるエリアに住めていて、毎日最低限の生理的欲求を満たせるだけの金銭の貯えがあって・・・。

 

という話になります。

 

子供の場合、人が近くに居る、親が近くに居る、ということを認識したい。という欲求に代わります。

 

生まれたその日から抱っこされていないと不安になる子供もいれば、生後3ヶ月(視野がだんだん広がる)くらいになって発動してくる子供もいます。

 

 

 

ちょうど真ん中。3段階目の社会的欲求。

 

これは、自分がある集団に属している。自分は一人じゃない。そう思えるための欲求です。

 

人間は、自分一人だ。誰も助けてくれる人がいない。という環境に非常に弱いです。

 

社会的なつながりを常に意識しながら生活しています。

 

その社会的なつながりが充実している、自分がコミュニティーの中で受け入れられている、暮らしの中に自分の居場所があることを望む。というのが社会的欲求。

 

子供の成長の中では3歳くらいから特に現れてきます。

 

「○○ちゃんがおままごとに入れてくれなかった」「鬼ごっこをしようとしたら、○○ちゃんはダメ!と言われた」みたいな悩みが年少クラスくらいから始まります。

 

この辺りからは、子供の話をよく聞いていないと『表立っては現れないけれども、実は子供が悩みを抱えていた』という状況が生まれている時があります。

 

 

 

さて、高度な次元の4段階目。承認欲求です。

 

これは、先ほどのコミュニティーの中で認められたい。社会の中で表彰されたい。みたいな欲求です。

 

中間管理職研修でよくあるアドバイスは、部下を注意するときはこそッと呼んで、個室で行うこと。部下をほめるときはみんながいる前で褒めてあげること。

 

というものがあります。

 

同じことは仕事用のチャットなどでも言えて、部下を注意するときは1対1のチャット。部下をほめるときはチーム全員が入っているグループチャット。

 

みたいな使い分けが必要になります。

 

この承認欲求が子供に表立って現れるのは社会的欲求が現れるのと同時か、ややあとなのですが、個人的にはこの欲求は第1段階の生理的欲求と同じく、生まれた瞬間からついて回っているのではないか?と思っています。

 

『褒められたい(承認されたい)』という欲求と、『承認を素直に受け入れること』には大きな差があります。

 

赤ちゃんのうちから『達成できた(この瞬間子供は満面の笑み)!』という気持ちと同時に『すごいね!(それをしっかり見ていた親や保育園の先生も笑み)』という承認がセットになっていることに慣れていると、4歳、5歳になった時、表立って承認欲求が現れた時に、人に褒められる(承認を受ける)のが上手になります。

 

満面の笑みで、親から承認されることを喜べます。

 

この年頃になると一方で『照れる(承認されることに慣れていない)』という行動もセットで現れてきます。

 

この行動は思春期になると『親に褒められたい(承認されたい)』という気持ちと『親とは離れて自分で行動したい』という気持ちの葛藤が生まれるとき、親からの承認を(逆に言えば承認だけは)素直に受け入れることができるようになるか、否かに関係してきます。

 

実は、中間管理職研修でも『褒められる(承認される)ことに慣れる』という研修を行います。

 

組んだ相手方から、自分の良いところをたくさん言ってもらい拍手してもらう。自分は両手を広げ、胸を広げ、目線をあげて、精一杯深呼吸するような姿勢でひたすらその賞賛を浴び続ける。みたいな練習をします。

 

その時に頭をかいたり、目線を下に落としたり(これが大人の照れる行動)せずに、人からの承認を素直に受け入れる。その練習です。

 

実は承認欲求は、承認者、被承認者の2人とも訓練が必要なのです。

 

人間は承認されたいのに、素直に承認を受け入れることが苦手です。特に日本人は・・・。

 

教育の本に『子供たちの行動をよく見て、褒めてあげましょう』というフレーズはあります。

 

これは、親が承認者としてトレーニングせよ。と書いてあるものです。

 

子育てにおいて思うことは、もう一つのトレーニングが必要だということ。

 

子供が素直に承認を受け入れられること。承認欲求が表に出てくる前に、承認されることを素直に楽しめるようになっていること。

 

これがもう一つ大事なポイントだと思っています。

 

0歳のうちから、子供が『達成できた!』と満足した笑みを浮かべた瞬間、『やったね!』と承認してあげることは大切だと思っています。

 

 

 

さて、最後に第5段階目。自己実現欲求。

 

自分が成長したい方向、達成したい夢、目標、そういったものを自分で設定でき、さらにそれを達成できた時の満足感。これがマズローの最終段階です。

 

子育てにおいて、表立って現れるのは思春期です。

 

しかし、これも第4段階と同じで、思春期の段階から対応していたおでは少し遅いと思っています。

 

自分で成長したい方向、その方向に進むにあたって、これから先どのような成長曲線を描かなければならないか、マイルストーンを自分で設定する作業。これを思春期になるまでにトレーニングしておく必要があります。

 

思春期に入ってから、「目標はそれでいいの?」「今やらなきゃいけないことはゲームなの?」みたいな話をしても素直に聞いてくれません。

 

その時点で、自分である程度「このままの状態を続けていたらマズイ!」と考えられるようにしておく必要があります。

 

小学校低学年のうちから、自分が将来なりたい姿を話し合ったり、高い到達点に対してその目標を実現するためにはどれくらいの時期にどこまで成長している必要があるかを一緒に考えたり、そういう会話を繰り返すことで、だんだんと理解が深まります。

 

子供の空想の夢(私はサッカー選手になりたい!でした)を否定しないことはもちろんですが、その夢を膨らませ、『その夢を実現するために、8歳までに何をしようか、10歳までに何をできるようになろうか』みたいなところまで子供と落とし込みを行えると素晴らしいと思います。

 

99.9%は、その夢には進まないのですが、夢に向かってマイルストーンを設定した過程は、次の目標を設定するときに必ず活きます。

 

 

 

さて、ビジネスでよく教わる『マズローの5段階欲求』という整理を用いて、子供の成長過程と子育てについてまとめてみましたが如何でしたでしょうか。

 

特に、4段階目の承認欲求と、5段階目の自己実現欲求は、その欲求が発動する前に、ある程度親も子供もトレーニングしておくことが必要だと思います。

 

子供が小さなころから、この『マズローの5段階欲求』をちょっと気にして子供に接してみるのも良いかもしれませんよ。

 

以上