ダブルインカム トリプルキッズ blog

夫婦共働きの子育てを実践しながら、パパ育児の苦労と楽しさをご紹介します。

215.子育て家庭の家選びのポイント ~ 災害対策の観点 ~

今まで何度かに分けて、不動産デベロッパーの視点で、子育て家庭のための家探しポイントを紹介してきました。

 

■マンションは新築を購入するべきか、中古を購入するべきか

 

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

 

■子育て家庭の家の選び方(子供の数と家の間取りについて)

 

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

 

■保育園に入りやすいエリア

 

doubleincome-triplekids.hatenablog.com

 

 

 

今回は災害対策の観点で、どのような家探しをするべきかをご紹介します

 

主に東京での家探しのポイントになってしまいますが、日本全国どこでもだいたい当てはまることですので、自分の住んでいるエリアの場合どこかな?と参考にしてみてください。

 

 

 

大事なポイント

 

1.災害を想定する

 

日本では、被害が大きい順に、地震津波地震火災を含む)、洪水(線状降水帯、集中豪雨、台風を含む)、火山噴火となっています。

 

アメリカなどでは風害(竜巻、ハリケーン)が猛威を振るったりもしますが、日本では風による建物被害は珍しい現象です(近年では2019年の台風15号でゴルフ場の鉄塔や電信柱が倒れる被害がありましたが、逆に言えばその程度です)

 

 

 

2.被災時を考える

 

被災時にどのような状況になるかを考えます。

 

災害に対して、最も大切な考え方は「自助、共助、公助」です。

 

まずは、自分の命を守り、次に自分が怪我をせず(共助を受ける側にならない)、そして周りの人を助ける(共助をする側になる)、ことが求められます。

 

続いて、職場から自宅まで歩いて帰ることができるかを考えなければいけません。

 

本来、激甚災害の場合はオフィス内で3日間は留まることが求められます。

 

しかし、子供を保育園や育成室に預けている親は、早急に子供を迎えに行くことも求められています。

 

公共交通機関が止まっていたとしても、どうにかして家までたどり着かなければなりません。

 

さらに、家までたどり着いたとしても、その先に親として子供たちに安全安心を提供しなければいけません。

 

帰り道、停電していて暗かったら、建物が倒壊していて通れなかったら、外壁が崩れてガラスが散乱していたら、木造密集地域で大規模火災が発生していたら、とてもじゃないですが、万全状態で子供を迎えに行くことは出来ないと思います。

 

 

 

3.災害復旧時を考える

 

災害復旧の拠点はやはり自宅です。

 

自宅が使用可能な状態であれば、生活再建は早いですが、自宅が倒壊、水没した場合などは、まず自宅を使える状態に戻すまでに多大な時間と労力を要してしまいます。

 

自宅を何としても運用可能な状態に保ち続けることは重要です。

 

 

 

4.自宅を守る対策を考える

 

対策を考えます。

 

まず、火山噴火についてです。

 

東京で発生する自然災害の中で、最も経済被害想定が甚大なのは、富士山の大噴火だ。と言われています。

 

ただし、こちらは数100年に一度の確率事象です。

 

偏西風に乗った火山灰は東京にまで到達します。

 

磁気を帯びた火山灰は、建物の中に侵入し、PC等の電子機器に影響を及ぼします。

 

また、アスファルト面に降った火山灰は処理しきれず、雨が降ると下水道に流入します。

 

火山灰のガラス質は水と結合すると固形化し、下水道のポンプ施設を故障させます。

 

墨田川、荒川周辺の0m地帯では、大規模な内水反乱が発生します。

 

 

 

火山灰に対して、とれる対策はそれなりにあります。

 

まず、火山灰が到達するまでにたくさんの時間があります。

 

地震と違い、ほとんどの場合予兆があります。

 

富士山周辺の火山性地震が多発し、マグマの上昇が確認され、地表面の隆起が確認され、そして噴火が起こり、数時間後に東京に火山灰が降る。

 

これだけ時間があれば、それなりには対策が取れます。

 

東京から離れる時間も十分にあります。

 

ただ、東京にとどまる想定をするのであれば、少なくとも0m地帯に自宅を構えないことが求められます。

 

墨田川より東、荒川周辺が該当します。

 

ja.wikipedia.org

 

なお、マンションだから0m地帯でも大丈夫。ということはありません。

 

マンションは1階が水没すると受電設備等が使えなくなりますし、生活物資を買いに行くこともできなくなります。

 

周辺道路が水没した場合、子供を迎えに行くことも、子供を家に連れ帰ることもできません。

 

 

 

 

次に地震対策と洪水対策です。

 

こちらはかなり発生頻度が高く数10年に1度という確率事象になります。

 

より対策が求められます。

 

この二つの自然災害は、解決策が同じです。

 

武蔵野台地』の上に住むこと。これが答えです。

 

地震武蔵野台地の上と、沖積平野(堆積土壌)では、地震の大きく影響が異なります。

 

たとえば、東日本大震災で被害が増大した九段下は、あの周辺だけかつての江戸城お堀への引き込み水堀があった埋立地でした。

 

埋立地沖積平野では地震動が増幅します。液状化現象も発生しやすいので、建物の不同沈下なども招きやすくなります。

 

我が家では必ず武蔵野台地の上に住むことにしています。

 

赤色等高線図などで見ると一目瞭然ですし、家探しの際にちょっと気にして周辺を歩いてみると、崖線の上かどうかすぐに分かります。

 

www.gsi.go.jp

 

 

武蔵野台地の上に住むと、水害被害もほぼありません。

 

ただし、武蔵野台地の上であっても、水が集まる地形はあります。

 

かつては崖線で発生した湧き水が流れていた小川があったエリアです。

 

自分の家に降った雨はどちらに流れていきそうか、周辺に降った雨はどの方向に流れていくかを考えるとすぐに分かります。

 

自分の家に降った雨がどこにも流れていきそうになく、周辺に降った雨が自宅の方へ流れていきそうな場合、それは武蔵野台地の上でも集中豪雨の際に水没被害に遭う可能性のあるエリアだと思ってください。

 

簡単にまとめますと、武蔵野台地の上に住むと、地震発生時の被害、水害の被害を最小限に抑えられます。

 

 

 

さらに東京の場合、エリア選びのもっと簡単な方法があります。

 

かつて大名、武家屋敷だったエリアに住むことです。

 

江戸時代、町人地は崖下でした。大名武家屋敷は崖上でした。

 

もう一つ、東京西側の場合、『田』『池』『洗』など水に関するところは以前に田んぼや湿地だった場所です。

 

周辺を見渡して、田んぼになっているか、畑になっているか、この辺も見分けるポイントです。

 

京城西エリアで家を構えるのであれば、周辺が『畑』となっているエリアを選ぶことをお勧めします。

 

 

 

5.地震発生数時間後のことを考える

 

地震はその後いろいろな災害を併発します。

 

まずは、津波東京湾三浦半島富津岬で閉鎖された内湾ですので、影響は限定的ですが数mの津波は来る可能性があります。

 

この時、自宅や保育園を守るには、やはり武蔵野台地の上にいることです。

 

次に、地震火災を発生させます。

 

木造密集地域ではその危険性が高まります。

 

自宅を周辺火災から守るためには木造密集地域を割け、自宅周辺の建物が延焼防止可能な離隔を保てている、耐火建築物になっていることが必要です。

 

木造密集地域(東京都都市整備局)

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/keikaku/shingikai/pdf/riyou02_09.pdf

 

 

 

次に職場から家まで安全に歩いて帰れるかが問題となります。

 

緊急交通路沿道は、建物の耐震化工事に対して補助金が出ており、耐震化が進められていますので、この主要幹線道路を軸に帰宅ルートが組めるかが課題となります。

 

www.keishicho.metro.tokyo.jp

 

 

 

6.地震発生数日後のことを考える

 

地震発生後、物資輸送網が大打撃を受けます。

 

東日本大震災の時もそうでしたが、東京では市場から直送されるルート(個人商店)での物資供給再開は早いですが、いくつもの倉庫をとおして搬入される物資ルート(チェーンスーパー)は復旧が遅くなります。

 

家の周りに、市場から毎日直接仕入れている八百屋、肉屋、魚屋、米屋などがあって、店長と顔なじみになっていると、災害発生時にとても強い人脈になります。

 

生活物資を揃えられるだけの商店街が周辺にあるかは居住エリア選びの重要なポイントになります。

 

チェーンスーパーだけが生命線、というような湾岸タワーマンションエリアは、被災後の物資供給が極めて脆弱なエリアです。

 

タワーマンションに人が多く住んでいるのに、被災後、物資がなかなか届かないエリアです。

 

私なら住むのは割けます。

 

 

 

7.まとめ

 

我が家では、今紹介したような観点で、自宅の場所を選んでいます。

 

私も妻も大学で防災を専門とした研究を行っていたので、こだわりがあるというのは間違いないのですが、皆さんも居住環境選びの際、メディアでの『人気のエリア』や、雑誌の『価格が安いお得エリア』などの情報の他にも、防災の観点で少し住む場所を選んでみられると良いかもしれません。

 

日本に住んでいる以上、災害はいつかやってきます。

 

その『いつか』に備えて、やれることはやっておく。子供たちに安心安全を提供するために、家だけはなるべく安全な場所に構える。という心がけは大切だと思います。

 

 

 

8.最後の最後の選択手段として

 

最後の最後の選択肢を残すために、我が家では家を買わずに賃借しています。

 

もしももしも、極めて甚大な災害が発生し、自宅周辺が大変な状況になった場合、今の居住エリアで生活再建をめざすのではなく、その時点で安全なエリアへすぐに引っ越しできるようにしています。

 

そういった選択肢もあることおをお伝えいたします。

 

 

 

長文でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

何か皆様の参考になれば幸いです。

 

以上