3週連続の的中を期待した7月5日時点の東京都の要請患者数7日平均のモデル予測は65人でした。
結果は93.1人。大きく外しました。
さて、この結果は、▲10%の感染速度抑制が出来ているという想定をしないと、90人というモデル予測なので、そちらに近づいていることが分かります。
その傾向からすれば、7月12日の7日平均は144人です。
ただし、他の要因から推測するに、感染速度抑制効果は出ています。みんなで続けていくことが大切です。
第2波の特徴
①低い致死率、早期の退院
私のモデルでは、PCR検査で陽性と診察される方の、日本全体での平均致死率を1%としています。これは、全数検査を行ったダイヤモンド・プリンセス号のサンプル結果と、乗船していた人の年齢構成、日本の年齢構成から設定したものです。
モデル上では、市中感染者のうち、症状が発生した2割が発見されることを前提に、発見された方の致死率を5%と計算しています。(発見者致死率5%=ウイルス感染者致死率1%/発見率20%)
第1波の時は、死亡者数の立ち上がりとモデルが高い相関を見せていました。
しかし、第2波では新規死亡者を押さえ込めています。
これは、医療現場の経験値が上がり、対処方法がマニュアル化されたことがまず大きいと思います。
もう一方、無症状の方、感染確率の高い業種の方へもPCR検査ができる体制が整いはじめ、市中感染者の発見率が上がってきていることも大切なポイントだと思います。
2回のPCR検査陰性判断を経て退院できる方の、陽性反応期間が短期間化していることも、軽症状の方を発見できている証拠です。
※新規退院患者数の算定モデルは、モデル上は患者発見から30日後に退院としていますが、第1波の結果としては25日前後で退院するとしたパラメータが最も相関性が高くなります。それに対して、第2波の傾向は15日~20日前後になっており、明らかに退院が早まっています。
今後、第2波に合わせたパラメータに設定し直すとすれば、市中感染者の発見率を30~40%程度に上げる(東京都の感染経路が分かっている新規陽性者の割合等から)ことが必要と思われます(発見率が高いので、発見された陽性者の致死率は下がる)。
②東京から地方都市への感染拡大
東京都から、首都圏へ、首都圏から全国へと感染は拡大傾向です。
054.どうして政府はこういう判断になるんだろうか?
に記載した通りに進んでいます。
東京はまだ資金余力があります。医療体制の拡充も何とか出来るでしょう。
金銭、人材、インフラ等のリソースが不足しているエリアへは、なるべく首都圏から人が流入しないことが求められます。
③検査の拡充、早期発見をめざす第2波対策は有効
「検査をするから新規陽性者が多く見つかるんだ。」という意見も聞かれていますが、今のところ、検査をして、無症状の20代、30代を早めにキャッチできているので、第1波の時と異なり、新規陽性者の大半は若者となっています。
20代から80代以上まで平均的(人口バランスから言えば、それでも若者の感染確率の方が高い)に陽性者が見つかった第1波と異なり、第2波で発見されているほとんどは無症状、軽症の若者です。
第1波の時も、実態は若者がまず無症状で感染し、高齢者へと波及した結果、発見される有症者は各世代が平均的だった(市中感染者は若者の方が多かったはず)。ということでしょう。
なるべく早期に見つけ、重症化しやすい高齢者への波及を防ぐことは大変重要だと思います。
また、退院時期が早まっているのは、体内でウイルスが増殖する前に発見され、治療を受けられているから、という側面もあると思います。大事なことかと思います。
さて今週に入り、ようやく人々の行動様式拡大傾向が止まりました。
モデル指数としては、感染拡大前に比べて82%程度の行動様式(18%の自粛)という結果になっています。
これは、実は3月中旬の指数とほぼ同じです。
人々がそこまで負担を感じずに、『気を付ける程度』で行う自粛は「82%」程度がいい線のようです。
この82%の行動様式を続けると、今後このような予測になります。
新規陽性者数
新規死亡人数
新規退院患者数
これまでのモデル予測の推移
東京の接触歴等不明者数はますます増大傾向です。
いくら軽症の若者が中心とはいえ、接触歴等不明者数が上がってくると高齢者への波及が心配になってきます。
もう4月上旬の水準まで増えてきてますので、注意が必要です。
以上