普通借家契約の更新時期となりました。
2年という月日があっという間に過ぎてしまいます。
家主に支払う更新料、管理会社に支払う手数料、その他保険料、等々、まとまったお金が出ていきます。
今年は家計の資金繰りがやや大変になる年です(隔年イベント)。
さて、ディベロッパーに努めていると、よく聞くのが「家は買ったほうが得ですか?借りたほうが得ですか?」という質問です。
いつも私は「借りたほうが理にかなっていると思うよ」とアドバイスしますが、ほとんどの人は買う気満々の状態で私に聞いてくるので、結局購入されることが多いです。
少しだけ、買うメリットと借りるメリットのアドバイスをいたします。
①家を投資目的として購入するのは…
不動産には様々な手数料が発生します。
買うときには、仲介手数料、消費税、取得税、登録免許税…
売ると仲介手数料と、利益がもし出たら所得税、その他諸々、めちゃくちゃ取引コストが高いんです。
なので、買うとき、売るときの取引コストだけでも20%くらいは持っていかれると考えてください。
スタートが8割から。元の値段よりも25%以上値上がりしてはじめて利益が出る。
だいたいそんなものです。
家賃を払わずに家に住めるというメリットはありますが、コストはそれなりにかかります。
固定資産税、管理費、修繕費、金利
まあ、借りるよりはお得に住めることは間違いないですが、安くはないです。
投資目的で不動産を買うくらいなら、パッシブ型のS&P500の投資信託等をおすすめします。
②天災を被災する確率
日本は災害大国です。
フラット35で組んでいる返済期間中に、もし地震が…、もし水害が…。
そういったときにも借りている家であれば、すぐにその土地を離れ転居するだけですが、所有している場合は自らなんとか再建しなければなりません。
③不動産はインフレ防衛対策になる?
スーパーインフレが発生した国家において、首都の不動産価格は、対外的に以前の7割程度の価値を保存するという。という過去のデータがあります。
ほぼ無価値になってしまう現金紙幣と比べて、ずっとマシな資産と言えるでしょう。
とはいえ、外貨で保有していれば価値は完全に保存されますし、金などの現物資産もあります。
土地は、インフレに対して「現金よりはマシ」という程度です。
ちなみに、「住む」という意味で一番インフレに強いのは実は普通借家権だったりもする…。
普通借家契約は借地借家法によって雁字搦めに守られており、借り主保護が徹底されています。
インフレで値上がりする際も、決して時価までの賃上げは出来ず、最大で時価と現契約値段の中間まで。という暗黙の限界値上ラインがあります。
色々と書きましたが、経済合理性のみを突き詰めれば、借りていたほうがずっとお得だと思います。
ただし、子供が増え、にぎやかになり、自分がめざす子育てスタイルがあるなかで、フィットする家、間取りが見つからないという悩みはよく聞きます。
保育園に入りやすいエリア、行きたい小学校の近く、など条件が増えてくるとなおさらです。
そんなときに、「やっぱり自分好みの家を建てよう」「今の家族構成に合った間取りのマンションを買おう」という解決策が出てくるのは当然だと思います。
その時は、ぜひ購入してください。
「投資目的」とか、「家賃を払うくらいな買ったほうが得だ!」という理由ではなく、「こんなふうに住みたい」「こういう家で子育てしたい」そういった気持で納得できた家であれば、後々、購入の判断を振り返って悔やむことはなくなると思います。
皆様のご参考になれば…。
以上