さて、本業に近いことを初めて書いてみます。
現在、新型コロナウイルスに対して、世界では対応が3チームくらいに分かれてきました。
①潔癖症チーム(優秀)
中国、韓国、台湾、シンガポール(現在課題発生中)に代表されるような、『封じ込め』を狙う集団です。
徹底的に人の行動管理を行って、PCR検査を広く実施し、感染者0状態を目指しています。
②ウイルスマネジメントチーム(可)
ドイツ、オーストリア、フランス、スペイン、イタリアのように、新規感染者数を集中治療室の余力が残る範囲にマネジメントし、そこまで新規感染者を落せたところで、行動緩和を実施していく集団です。
新規感染者0をめざすことはしない。新型コロナウイルスとうまく付き合っていこうというチーム。
③経済優先チーム(不可)
アメリカ、ロシア、イギリス、ブラジル、以下多数(中進国、発展途上国のほとんど)が採用し、行動制限とコロナウイルスの制御を実質的に諦め、感染者数の増加は気にせず、経済を優先する集団です。
日本は基本的には②ウイルスマネジメントチームをめざしているのだと思います。
ただし、ドイツなどと異なり、国民の人数あたりに用意できている集中治療室の病床数が少ないこと、高齢化率がきわめて高いことがネックとなり、マネジメントできる新規感染者数はドイツほど多く出来ません。
ドイツは1日あたり、1000人前後の新規感染者数でコントロールしようとしていますが、日本では100~200人の間で新規感染者をコントロールしないと医療リソースが枯渇する模様です。
人口はドイツの1.5倍なのに、新規感染者の受け入れ上限は、ドイツの1/5程度というのは悲しい現実ですね。
さて、日本の置かれた立場はかなり微妙です。
これから国民にワクチンが行き渡るまでの1年半程度、どの国に対して国境を開き、どのように経済を回していくか。
世界第1位の経済規模のアメリカと、第2位の経済規模の中国がまったく正反対の戦略をとっているので、どちらともと付き合うことは出来ません。
もし、アメリカと商売をやっていく場合、③経済優先チームの先頭をひた走り、感染者が莫大にいるアメリカとの人の往来を再開するのか?という大きな課題が出てきます。
ようやくみんなで苦労してここまで感染者を抑え込んだのに、アメリカとの人の往来を始めたら、一瞬で元の木阿弥になります。国民の理解は得られないでしょう。
もし、中国と商売をやろうとしたらどうなるか。
①潔癖症チームからは、日本は疑いの目で見られています。PCR検査数が少なすぎるので、本当に感染者を少なく出来ているのか証明できないからです。
②ウイルスマネジメントチームにいる日本が、①潔癖症チームとの人の往来(商売の再開)をめざすのであれば、日本には潔癖症チームに入る証明書が必要となり、そのためには日々の感染者を0に持っていく努力と、一日平均2万件近くのPCR検査の実施が必要となるでしょう。
さらに苦しいのが、同じ集団である②ウイルスマネジメントチームとの人の往来を再開しようとした場合です。日本に比べて人口が2/3であるドイツが、毎日の新規感染者を1000人前後でマネジメントしようとしている現実からすると、日本の人口に対しては日々1500人前後の新規感染者を産む濃度(感染者濃度)になっているということです。
日本の医療リソースの上限に対して、約10倍多い割合です。
日本は、②ウイルスマネジメントチームとの人の往来を再開できません。
こうやって考えていくと、日本が人の往来を再開できる相手は、①潔癖症チームだけです。ただし、潔癖症チームからすれば、日本の感染者を入れたくない(日本の方が感染者濃度が高い)ので、日本には感染者を減らすさらなる努力を要求されます。
この日本の現実は、極めて厳しいものです。
しかし、日本以外に目を向けるとさらに厳しい現実が見えてきます。
③経済優先チーム(最初は破れかぶれチームと名付けようかと思いました)にいる中進国、発展途上国は、中国との人の往来が継続的に遮断されます。つまり、中国からの資金流入が、事実上、1年ちょっとストップすることになります。
これは、中国からの観光客を当てにしている東南アジアや、中国からの投資によって経済を回しているアフリカ各国のキャッシュフローを急速に悪化させます。
今回の新型コロナウイルスの危機は、先進国中央銀行の超大規模金融緩和により、金融危機に至らずに乗り越えられるという楽観的な憶測が飛び交っていますが、今後発生する目詰まりは、中国依存度の高い中進国、発展途上国の破たんと、アメリカの低所得者のサブプライムローンデフォルトによって表面化してくると考えています。
不動産デベロッパーとして、今ほど新規投資を絞りたいと思ったことは無いです。
1年後が本当に怖い。
以上