東京都の人口が26年ぶりに減少しました。
2021年10月1日現在の東京都の人口は1401万人となり、2020年よりも約2万人減少しました。
なお、2022年3月1日現在、東京都の1397万人で、さらに4万人減少しています。
東京都は、入社や入学が増える4月に人口が増える傾向にありますので、この状況をもって2022年10月はさらに人口が減少する!とは言い切れないのですが、それでも傾向は続くように思います。
東京都は今まで、自然増減(生まれる子供の数 - 亡くなった人の数)の減少を社会増減(東京都に転入する人の数 - 東京都から転出する人の数)の増加で補ってきました。
しかし、リンクしたサイトの図5を見ていただきたいのですが、2021年はピンク色の社会増減の棒グラフも下向き(減少)です。
周辺の神奈川県や埼玉県などは上向き(増加)ですので、東京圏で働く人の中で、都心ではなく、郊外立地を選択する人が増えたことを表しています。
さて、東京都の人口減少は2025年から始まると言われてきました。
これには経緯があり、当初東京都は2015年頃から人口減少が始まると言い続けており、それが2020年頃になり、2025年頃になり、と先にずれ込んできていました。
「東京都への一極集中」を問題視されるたびに、地方自治体に対して「東京都だって近々皆さんと同じように人口減少するんですよ」と言い続けていました。
しかし、その内情として、東京都の幹部の中には「東京都の人口減少は2030年になっても始まらない。若者はいつの時代も東京をめざすので、自然増減を社会増減で補い続ける。2025年に人口減少が始まるというのも地方自治体に対する方便で、それから先も東京都の人口は伸び続ける」という発言をしている人もいました。
東京都は、「人口が減少する」「若者が東京をめざさなくなる」という状況をまったく考えてこなかったのです。
2021年の人口減少は、東京都という自治体にとって、晴天の霹靂でしょう。
東京都としては、いままでまじめに想定してこなかった『人口減少』というフェーズに10年近く前倒しで入ってしまったのです。
新型コロナウイルスが事の発端ですが、一番大きなファクターはリモートワークの定着です。
毎日、都心まで通勤しなくてよくなれば、都心の狭苦しい空間に住むよりも、郊外の伸び伸びとした空間に住まいを設けたくなる。
その気持ちは良く分かります。
東京都の『一人勝ち状態』はいよいよ終焉です。
リンクしたサイトの表2のとおり、2021年に人口が増加した都道府県は、沖縄県の1県のみとなりました。
沖縄県は、図5のとおり自然増減がプラスです。
やはり、街が活性化するためには、ひいては社会が豊かになるためには、ある程度の若い人口が再生産される社会づくりが必要であるように思います。
どうやれば沖縄県のようになれるのか。
沖縄県の文化をいまいちど分析し、日本全体に横展開していく必要があるかもしれません。
まあ、背景的に極めて困難だとわかりつつ言っていますが・・・。
もし、この辺りをもう少し深堀してみたい人がいらっしゃれば、速水融氏の下記の本などがお勧めです。