先日、仕事で『街に真に求められている機能とは何か』を検討しました。
デベロッパーとは面白い職業で、こんなザックリとしたテーマでも、まじめに検討します。
いつものパターンはペルソナの設定。
「独身男性」「独身女性」「DINKS」「子育て世代」「子育てが終わった50代夫婦」「アクティブシニア」「シニア」「10代」「20代」「30代」「40代」・・・
いろいろな世代のニーズを検討します。
その中で私が得た最終的な結論は、『人間は暇であることが一番嫌い』であるということでした。
どの世代も、どうせならゆっくりすればいいのに、ゆっくりできない。
例えば独身男性の20代。
街に欲しい機能として浮かび上がるのは以下のようなもの。
・安くて美味しい定食屋、居酒屋(食欲を満たすもの)
・締めのラーメン屋(3軒目需要)
・オシャレなカフェ、レストラン(デート用、モチベーションup用)
・ジム、サウナ(健康系の自己研鑽)
・ライブラリー、朝活などのコミュニティ(能力向上系の自己研鑽)
・お金を使わずに長時間滞在できる場所(カフェ、ファミレス、ゲームセンター、図書館、他)
一方で、街に出ずに家で過ごすとすれば、インターネット環境でオンラインゲームをしたり、SNSを楽しんだり。
最も避けたい行動パターンは『孤独な時間』、『何もしていない時間』。
最も求めている行動パターンは『コミュニティに属しているという安心感』。
こんな感じでした。
どの世代もだいたい同じパターンが現れました。
人間は『孤独』で『何もしていな』ことに耐えられない。
人が『一人』でいる場合、インターネット上のコミュニティを求めるか、『何かをしている(例えば資格試験勉強など)』という達成感を求めます。
「人生暇つぶし」は、妻のコメントですが、仕事でまじめに検討した結果も、人間は生まれてから死ぬまで『暇』を避けようとし続けているのだな。と、感じました。
例えば、パプアニューギニア島の先住民族の研究では、お腹が満たされているときには人間はずーっとどうでもいいおしゃべりをし続けていたそうです。
『おしゃべり』という暇つぶしが、人間の最大の財産でもありました。
今現在、先住民族の村の中での『おしゃべり』が、SNSやライン、ツイッターなどでの『チャット』に替わっただけ。
やっていることは、まったく一緒です。
さて、最後にこのどうでもいいコラムで私が話したかったことに移ります。
みんな『暇をどう潰すか』に迷いまくった挙句の果てに、お金を使って体験価値を買ったり、買い物をしたり、インスタ映えする食べ物を求めて2時間も3時間も行列に並んだりするわけです。
みなさんが『体験価値』に重きをおくようになったのは、体験している時間の他に、体験したことをみんなに話す時間まで付いてくるからです。
一度でニ度美味しい暇つぶしになるからこそ、体験価値は重宝されるようになっています。
生産性が高まり、労働時間が減った現在、さらにその『暇つぶし機能』が街には求められています。
ただし日本では所得が伸びていませんので、できれば『お金を出来るだけかけずに、長時間楽しく過ごせる』サービスが求められています。(デベロッパーとしての研究成果)
一方で、こんなに『暇』が嫌なら、そもそも『自分の時間が無くなること』を極端に嫌がる今日の成人男女の習性はどこから生まれたのだろうか。と、ふと思います。
子育て期間は、すべて子供中心の生活となり、自分が本当はやりたかった健康系自己研鑽や能力向上系自己研鑽をする時間がなくなります。
自分が自分のために選択して得る体験はより少なくなります。
しかし、多くの人が処理方法に悩んでいる『暇な時間』はどこにも存在しなくなります。
毎日が忙しく、毎日が新しい出来事ばかり。思いもしない突発事象の連続で、日々新しい体験ができます。
子育ては、究極的には『人生最大(最高)の暇つぶし』なんだな。と感じる今日この頃です。
お酒を飲んで、同年代と語っている楽しさもありましたが、この頃は小4の長男が良き話し相手になってくれるようになりました。
私が鍛え込んだ雑学をさらに発展させ、いろいろなトリビアを持ち帰ってきます。
中には唸るような面白い雑学もあり、時間を楽しく過ごすのにはもってこいです。
出生率が低い、少子化対策を急がなければならない。そんな政治家のコメントはよく聞きますが、社会を動かすにはニーズから入った方が良いように思います。
今こそ『子育て期間』という時間の意味合いをとらえなおすのも悪くはないかと。
『子育て』という暇つぶしは、幸せの実感も運んできます。
お酒や高級ホテル宿泊、ブティックでの買い物ではなかなか得られない価値があります。
以上