『ファクターX』
4ヶ月間、ほぼ完ぺきな精度で再現できていた新規PCR陽性者数の予測が、この10日間でまったく合わなくなりました。
4ヶ月間、モデルが完璧すぎたゆえに驚きです。
逆解析してみると、7月27日の週から、人々の行動パターンに依らず、劇的に実行再生産数が落ちています。
いままで『無い』と言い続けていた『ファクターX』が、いきなり発生した印象です。
この『ファクターX』。人々の行動指数が30%程度落ちた場合と同じ効果、という劇的なものです。
新規PCR陽性者予測 7月26日モデル
新規PCR陽性者予測 7月27日の週よりファクターX(行動指数30%減)を加算
行動指数がいつもの8割程度で推移しているにもかかわらず、感染拡大を伴う人々の接触はいつもの50%程度まで削減できているという計算になります。
人々は街に出歩けるけれども、ウイルスの感染は抑制できる。
こんなに良い対処方法はありません。
これが、『この政策による効果だ!』と断言できれば、こんなに素晴らしいことは無いのですが、残念ながらそれが良く分からないのです。
7月27日の週の前後でいったい何があっただろうか
状況証拠としては、7月26日の夜に、政府が民間企業に対して7割在宅勤務の徹底を呼びかけました。
その結果として、参考までですが、私の会社でも7月27日から7割以上の在宅勤務が再徹底されました。
その前の週まで7~8割近い社員が出勤していましたので、オフィス内の人員が劇的に減りました。
加えて、社内で耳にする『飲み会』の開催頻度が激減したように思います。
6月下旬から、かなり飲み会の話を聞くようになり、7月も暑気払い、云々で飲みに行く人たちは飲みに行っていました。
そういった話が、7月27日以降はピタッとなくなりました。
自分の周りの状況からは、「7月27日の週から、定点観測ポイントの新宿や渋谷、横浜の行動指数が下がってくるだろうな。」と考えていたのですが、行動指数が下がらなかったことにまず驚きがありました。
そして、先週、今週と、『定点観測ポイントの行動指数が下がっていないにもかかわらず、新規PCR陽性者数が劇的に減少していくこと』に、二重の驚きを感じています。
総じて言えば、人々の行動指数は下がらなかったけれども、7月26日に発出された政府要請(7割在宅勤務の徹底指示)は、すごい効果(5月に7割在宅勤務だった時と同じ効果)をもたらしている。ということになります。
飲食店のデイリーPOSデータを管理している立場にあれば、15時の人々の行動様式(ドコモ提供)と、その日の夜の賑わいを、両方指数化できるのですが、今はPOSデータにタッチできる部門にいないので、残念ながら良く分かりません。
6月に回復基調を示している商業統計が、7月、8月にどのような結果になっているか、この辺で事後的な確認できると思います。
(7月は6月よりちょっと少ない売上、8月は7月よりだいぶ少ない売上で、5月と6月の売上の中間あたりになっていたら、夜の飲み会削減効果が大きかったことになります)
ポイント
・4ヶ月間高い精度を示していたモデルと、観測値に乖離が発生し始めたのは7月27日の週から。
・7月26日夜に発出された政府要請(7割在宅勤務の徹底)は、効果としては30%程度人々の行動指数を下げたことに匹敵するが、どのような行動様式が自粛された結果、このような高い効果が得られたのかは分からない。
・8月3日の週から始まる子供たちの夏休みの影響が、相乗効果としてあったのか否かは今後の検証を要する(7月27日の週よりも8月3日の週の方が実行再生産数が下がっていれば相乗効果があると考えられる)。
・第2波の死亡者数の実績から、第2波の市中感染者致死率を0.6%から0.4%に再設定した。(第1波は1.0%)
新規死亡人数予測
新規退院患者数予測
以上