山中教授が、なぜ日本で感染者数を欧米よりも効率的に減らせたのか、それを謎の『ファクターX』としてあげられています。
と、週末の日経新聞で読みました。
さて、私のモデル上では、感染者の増加率は基本再生産数と、主要な駅の外出率のみでほぼ説明がついています。
モデルの予測値も、今のところ驚異的とも言える精度です。
東京で言えば、オフィスワーカー集積の代表地点としての新宿駅と、若者を中心とした繁華街である渋谷センター街の2地点が観測地点です。
ところで、私のモデルではそのエリアの人の外出率(ドコモのデータなので1月下旬頃との比較)を以下のように与えています。
社会的隔離係数 = 外出率 + ( 1 − 外出率 ) ✕ パラメーターF
もうお分かりのとおり
( 1 − 外出率 ) ✕ パラメーターF
は、都心への外出、出勤が減少したことにより、自宅周辺でのコミュニティーでの接触機会が増加するだろうと予測して入れたモデルです。
私の家の近くのスーパーも異様な混雑だったので、このパラメーターFは必要だろうと考えていました。
しかし、実績値とモデルを検証してみると、このパラメーターFは『0』の時が最も精度が高くなることが分かりました。
つまり、日本では人と人との接触は仕事や学校など都心中心(所属している団体)のコミュニティーにおける接触機会が主で、地元のコミュニティーでの接触機会は、たとえ地元での時間が増えたとしても大変希薄であるということを示唆しています。
まちづくりを推進している専門家として、欧米と日本のコミュニティーや人間関係の構築方法、どの団体と深く付き合うか、の違いを頭に浮かべると、たしかにさもありなんと…。
日本人は、特に東京や大阪では、地元(自分が住んでいる周り)でのコミュニティーが極めて希薄な状態で、会社や学校から家に追い返されると、リアルな世界で話す相手がいなかった。
欧米では、都心の人手を外出禁止にして減らしても、地元での滞在時間が増えた結果、地元のコミュニティーでの接触機会が増え、都心外出率の削減効果を半減させた。
もしかするとこれが山中教授の言う『ファクターX』の正体(要因の一つ)ではないかと思うんですよね。
さて、前置きはさておき、東京がステップ2に移行した本日の状況で、将来の新規感染者予測値がどうなったか。
やりすぎです。人が街に出すぎです。
このままでは、6月20日ぐらいには東京アラートが発出される水準になるのではないかと思います。
そのまま行くと、もしモデルが確かならば、『ステイホームお盆』となります。
GWに続き、お盆もステイホームとなったら・・・、さらに9月のシルバーウィークもステイホーム状態だったら・・・、当社のホテル事業は危機状態だと思います。まずいなぁ・・・。
死者はモデルの予測通り減ってきています。
退院者数もだんだん減ってきています。入院患者が減っているので当然ですが。
もし、私のモデルがそこそこ実態を表現できているとすれば、このままの勢いで街をオープンしていくと、8月には『ステイホームお盆』状態です。
とはいえ、本日のブログにも書きましたが、▲33.5%の新宿を4か月半ぶりに初めて見た感想としては、『これは極めてヤバイ』です。
不動産業が崩壊しかねない人出の無さです。
人が出歩きすぎて『ステイホームお盆』となることも嫌だけど、ずっと自粛して『経済の破綻』となることも嫌。
せっかく始まった保育園が再閉鎖される事態は何としても避けたい。
この辺の極めて難しい判断が求められていますね。
以上