ちょっとだけお仕事の話になりますが、昨日、政府が四半世紀ぶりの円買いドル売りの為替介入をしました。
私が高校生のサッカー部で汗を流していた頃以来です。
さて、この頃の政府と日銀の政策を見ていると不可思議なことだらけ。
極めて意味不明です。
金利がマンションの売れ行きや不動産取引価格に直結するデベロッパーにとって、政府と日銀の方針は日々チェックするのですが、こんなに難解?、意味不明?な状況では気持ちが悪くて目を回してしまいます。
何が気持ち悪いかを少し説明します。
安倍政権と黒田日銀は、それまでの民主党政権と白川日銀が行っていた「政府主導の為替介入による円高抑制政策」には効果がないことを主張し、「中央銀行主導の為替政策(アメリカよりも金融緩和をして為替を円安にする)」にシフトしました。
これは、ルビコン川(私は三途の川だと思いましたが)を渡る政策だったわけですが、ソロスチャートなどを見慣れていた金融マーケットの人間にはとてもわかりやすいメッセージとなり、円高の流れが反転、解消しました。
中央銀行は、物価の安定に責任を追うだけでなく、経済政策の責任も強く負うようになった瞬間でした。
ただ伝統的(教科書的)には、経済政策は政府、物価安定は中央銀行の責務ということは見解が一致するところでしょう。
昨日の日銀の会合では、消費者物価が3.0%を記録したにも関わらず、金融緩和、低金利、円安政策を継続するとコミットしました。
物価の安定よりも経済政策を優先する。
と、世に示したわけです。
ところが、今度は自民党政権が日銀の円安政策に対して、「為替介入」を行って円安抑制政策を取ったわけです。
円安という物価は上がるけれども、経済にはガソリンとなる政策(と、黒田日銀は言い続けている)を、自民党政権が潰しにかかったわけです。
ただ‥。 あれ‥?
政府の為替介入は効果がなく、為替に強い影響を及ぼすのは中央銀行の金融政策である。と、強力に日銀にマネタイゼーションを迫ったのは、他でもない安倍自民党ではなかったのか?
まあ、今回の政府の介入は、日銀の金融政策と逆行するため、マーケットはどちらを向くかといえば日銀を向く。
無意味とは言わないまでも、政府の行動はインフレに困っている国民に対する「パフォーマンス」であり「本気ではない」と、マーケットはよむと思います。
さて、もう一つ日銀側にも意味不明なことがあります。
物価の上昇に対して、賃金の上昇が伴わなっていないので、金融緩和を続けると言ってます。
まず、教科書的に言うと、賃金には物価に対して遅効性があり、現在の流れに対して粘着性があります。
物価が上がると、遅れて労働者のストなどをチラつかせた交渉が始まり、結果として賃金は上がってきます。
また、賃金は一度上がりだすと、その流れは継続され、上がらなくなると、その流れがつづく。
賃金にも慣性の法則が強く働きます。
欧米が現在悩んでいるのは(古典的な状況ですが)、賃金が上昇することに伴って、みんなが高い価格でも購買するようになり、インフレが継続してしまうインプレスバイラルです。
日銀が願っているのは、まさにこのインフレスパイラルに突入すること。
この状況になるまでは、気合を入れて消費者物価を4.0%にでも5.0%にでも上げていくぞ!
と、黒田日銀はのたまっている。伝統的な物価の安定(通貨の信用)の責務は、いまや完全に放棄する姿勢。
逆に、物価の安定は政府の役目?
ガソリンに対して補助金を入れたり、低所得者にお金を配ったり(この政策はインフレを加速させますが)。
遅効性のある賃金は、常に物価に後追いになるので、実質賃金は下がり続ける。(理論的にはケインズの一般理論などをお読みください)
こんな素人でもわかる経済悪化政策を、確信犯的にやっている黒田日銀は何なのだろう?と。
まあ、日銀の当座預金が積み上がりすぎてゼロ金利政策をやめられない。という本音を隠すために頑張っているのだろうとは思いますが‥。
もういいよ。みんな分かっているから。バレていないと思っているのは貴方だけ。
と、黒田さんには言ってあげたい。
以上