今回、最終回になります。
昨年通ったスマートシティスクールでの知識と、十数年のデベロッパー社員としての経験をまとめたレポートでもあります。
前回、総論としては「スマートシティづくりは、信頼で結ばれている堅固なコミュニティづくりから始まる」と記載しました。
doubleincome-triplekids.hatenablog.com
今回は、自分の故郷、つくば市においてどのように進めるべきか、具体的に述べます。
まず、コミュニティが持つミッションは「つくば市をもっと楽しい街にしたい」というような、街に興味がある人を集め、みんなの自由闊達な意見が飛び交う場とすることです。
そのために必要なものは、まず模型。
出来れば1/1000スケール(1kmが1m)くらいの巨大な模型でつくば市中心部を再現できると良い。
これにはたぶん1000万円くらいかかる。(エリアを絞れば500万円くらい)
だけど、この模型を発注するんじゃなくて、みんなでスタイルとかを切りながらワイワイ作れば、それだけで街に対する思いも芽生えるし、コミュニティとして良いスタートが切れるんじゃないかな。
たぶん材料費だけなら100万円もかからない。
全部作り上げるまでに数ヶ月はかかると思うけど…。
次に模型の置き場所(プロジェクト室)。
だれでも自由にのぞけるガラス張りのオープンな場所に模型を置く。
地下や建物内はダメ。あくまでも路面を歩いている人からすぐにのぞける場所。
誰でも興味があればフラッと立ち寄れるような空間に置きたい。
堅苦しくない場所が良い。
つくば駅のライトオンの跡地(TSビルディング?)も良いと思ったけど、あそこはかっこよすぎる。たぶん賃料も高い。
できれば高校生とか中学生とか未来のつくばを背負う人たちにも来てもらいたいから、竹園高校からも近いところがいいし…。
竹園ショッピングセンターとか吾妻の有朋堂の跡地とかがいいんじゃないかな。
(もう既に竹園ショッピングセンターに有朋堂があったことを知っている人も少ない?)
建物を借りて、少し改装して、外からの視認性を高く、出入口を多くする。
改装費で300万円。賃料が年間300万円くらいか?
プロジェクト室に準備するのは、模型とコメントを張り付けられる旗上のピンなど。
そして、スタイリッシュなテーブルとイス。
そして、訪れてくれた人には感謝のしるしに一杯のドリップコーヒーか一本の牛乳瓶をご提供。
いつでも、何度でも立ち寄って、街への思いを語り続けてほしい。
とにかく幅広い世代が立ち寄ってくれて、街に興味を持ってもらうことがプロジェクト室の最大のミッション。
お客様一人当たりの経費として200円。
一日30人訪れてくれたら御の字だから、毎日6千円。月20日オープンさせると、月間12万円。年間で150万円弱。
模型を囲んで、どんな場所にカフェがあると素敵か。どんな場所にベーカリーがあると良いか。どこにオープンな路地型商店街があると良いか。
そういった街への思いを語り合う。
その取り組みの中で、まちづくりコミュニティを一人、また一人と集めていき、できれば模型の中の人口の1%程度、2000人程度のコミュニティにまで育てる。(ここまでに10年はかかる)
そのコミュニティの中で、どこのデータを取ると面白そうか。こういった街のサービスがあればもっと便利なのに。こんな市民へのアナウンス方法があれば、この場所にも飲食店を出店可能。と言ったみんなの考えるスマートシティの形をプログラム化していく。
ここでようやくスマートシティ構築を請け負ってくれるベンダーと、スマートシティ構築のための補助金が登場。
市民で考えた『本当の街づくりニーズ』を具現化して、市民の発意によるデータ収集プログラムを発表し、コミュニティに参加していない市民の同意取り付けを、提案した市民によって行う。
そして、ようやくいくつかのプログラムが模型のエリア内でスマートシティ施策として実行される。
効果検証を行って、その他のエリアの人が「俺たちの地域にもサービスを広げてくれ!」という声が出てきたら、つくば市全体に同プログラムを広げる検討を行う。
以上が、私の考えるスマートシティ導入に向けたつくば市のステップです。
必要資金
イニシャル
・模型 100万円~1000万円
・プロジェクト室改装費 300万円~500万円
ランニング
・プロジェクト室賃料 300万円/年 ~
・コーヒーと牛乳 150万円/年 ~
・プロジェクトマネジャー(たぶん雇えば2000万円/人年くらいの経費がかかるが、どこまで『つくば市への思い』でやってくれる人を探せるか)
プロジェクトマネジャーがもし筑波大学の研究室などの協力で調達できたら、もしくは定年退職した都市計画分野のスペシャリストでつくば市に戻ってこられた方をつかまえられたら、可能性は広がりますね。
人件費さえ除けば、10年続けてもせいぜい6000万円の経費で収まる。
いつもコケているスマートシティアプリの構築費用を考えたら、10年かけて市民の信頼関係が構築されたコミュニティが立ち上がるだけでも大きな成果。
あとは、これを長期的な目線で誰がオーナー(資金の出し手)となってやるか・・・。
このチームを立ち上げられなければ、柏の葉キャンパスで東京大学と千葉大学、三井不動産が進めているプログラムに対してつくば市は敗戦濃厚。
スマートシティ実装でもスタートアップ誘致でも負ける。
柏の葉キャンパスは2005年から同様のプログラムを立ち上げて、UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)はもうすぐ20周年。
つくば市は後れを取ってはいるが、今からでも遅くはない。
あとから考えれば、今が一番若い。人間も街も一緒。
柏の葉キャンパスでは三井不動産がオーナー。つくば市では誰がやる???
最後までお読みいただきありがとうございました。
これにてスマートシティスクール修了の証としての個人レポートを完結させていただきます。
以上