いったん国民が『自粛モード!』となると、実効再生産係数は0.8程度になります。
従来型の第3波(1月~2月)と、英国変異型(N501Y)の第4波(4月〜5月)共に同じ係数でした。
どのタイミングで国民が『自粛!』というモードに切り替わるかはわかりません。
それが見つけたいと思って、ずるずるとモデルの計算を続けていますが、今のところ見つけられずにいます。
さて、この第5波。
当初は、ワクチン接種の効果と、英国変異型(N501Y)だけをモデルに取り込んでいたので、こういう風に解析結果が出ていました。
ワクチン接種が進み、このままオリンピックを開催しても8月には感染者が減るだろうと。
しかし実際にはグラフのとおり、感染者は増えています。
約3週間前からインド変異型(L452R)というパラメータを新設し、英国変異型(N501Y)よりも感染スピードが1.5倍(巷には、1.5倍、1.6倍、1.78倍などの分析結果があります)速いという設定を加え、インド変異型の感染者数割合をモデルに追加投入しました。
そうすると、予測結果はこうなってしまい、いまのところ3週間はモデルのとおりに感染者が増えています。
インド変異型(L452R)は極めて感染スピードが速いです。
ちなみに、重症病棟に入る重篤化した症状になる患者数は、PCR検査で陽性が発見されてから約10日後に顕在化します。
死亡者は約20日後です。これは、第1波から第4波まで変わらない傾向です。
いま現在、増加しまっている感染者は、約10日後の重症病棟逼迫に繋がり、約20日後の死亡者数に影響しますので、これだけ急激に感染者が増えている状況においては、今の死亡者が少ないことと比較して、「新型コロナはただの風邪になった」と考えるのは時期尚早です。
第4波は前半、関西圏で医療崩壊を起こした結果、感染者に占める死亡者の割合は2.2%となりました。
後半は、高齢者へのワクチン接種が進んだ結果、1.4%程度の割合となり、モデル上は、平均の1.8%を入れています。第4波の前半はモデルよりも実績値が上にあり、後半は実績値が下にあるということが分かります。
第5波は仮に0.5%というパラメータを入れてみました。
(第4波の50代の死亡割合が0.475%ですので、50代であったとしても感染すると210人に1人は無くなります。)
今後の実績を見ながらのパラメータを調整することになります。
こんなに感染者を増やしてしまって本当に大丈夫なのか・・・。医療現場の「いつになったら休めるんだ」という嘆きが聞こえてきそうです。
我々は「感染したぞ。治してくれ!」という態度で良いのか本当に疑問ですね。
さて、最後にこんな記事もあります。
当たり前ですが、人間が抗体を身に着けると、ウイルスはその抗体を突破できる変異株が有力株として残っていきます。
その変異株の毒性が強いかどうか、ワクチン接種効果として人間のキラーT細胞がある程度機能し、たとえ感染したとしても重症化リスクを低減してくれる効果がどれほどあるかが気になるところです。
当然、重症病棟の占有は感染者×重症化率ですので、ワクチンを接種した効果として重症化率が下がったとしても感染者がむやみやたらと増大してしまっては、いつかはどうしようもなくなるラインが出てきます。
何度か取り上げていますが、やはり平穏な生活が戻ってくるのは特効薬(インフルエンザで言えばタミフルやイナビル)が出来て、新型コロナウイルスが『ただのインフルエンザと同様のウイルス』と言えるようになる時ではないでしょうかね・・・。
ワクチン接種だけではコロナウイルスの変異スピードに追い付けない気がしています。
以上