6月5日に昨年の人口動態ならびに合計特殊出生率が発表になりました。
ここ数年1.4台で推移してきた合計特殊出生率は、1.36に下がりました。
また人口は、年間で52万人の自然減少となりました。
52万人減るということは、大きな地方中核都市がひとつ消滅するという規模です。
例えば、宇都宮市が約52万人、金沢市が約46万人、富山市が約42万人ですので、52万人の自然減がどういう規模かということがお分かりいただけるかと思います。
それでは、どの世代が子供をもうけなくなったかを詳しく見ていくと、対前年で40歳以上の女性の出生率は横ばいでした。
それに対して、25歳~29歳、30歳~34歳の世代では、対前年で約0.02減少しています。
また、20歳~24歳、35歳~39歳の世代で約0.01減少しています。
最も子供をもうける世代の出生率が軒並み下げました。
これは2年前のデータで集計したものになりますが、この時までは20代の出生率の減少を30代の出生率上昇で補って、出生率1.4台を維持する傾向が見えていました。
今年はその傾向が大きく変化し、30代の出生率まで下がったというところに衝撃がありました。
さて、これはいったい何が原因なのでしょう?
2018年~2019年は、少なくとも近年まれにみる景気の良い時期でした。
子育て支援の充実も図られ、3歳以上の保育園児の通園料が原則無料となるなど、消費税は上がったものの、子育て世帯への再配分は手厚く行われました。
景気は良い、労働者所得は増えた、子育て世帯への税の再配分も手厚くなった。それでも国民は子供をもうける選択をしなかった。
人口が急激に減り、高齢社会(逆人口ピラミッド構造)が定着した国家に、若者主導の活気あふれる発展、イノベーションを生み出す社会エネルギーは生まれません。
若者は、高齢者の介護(負担)で目一杯になり、夢を描く余裕は出てきません。
若者はさらに少なくなり、夢を語り合う相手に巡り合えません。
人口過密となった地球上で、環境負荷を減らすために人口が緩やかに減ることは望ましいことだと考えていますが、ここまで急激に人口が減ると、社会を適切に維持することが不可能になってきます。
どうやれば、国がめざす合計特殊出生率1.8の社会環境を作れるのか。
家族がどのように協力し合えば、次の子供をもうけたくなるのか。
まだまだ社会づくりの研究が必要です。
以上